「大丈夫?お嬢さん」 「ふぇはぇぇ…そらから…まど……」 「明らか大丈夫じゃないわよこれ」 しばらく目をちかちかさせていた少女はシナダに手を差し出されてようやく起き上がった。肩に乗っているウサギは目をチカチカさせて威嚇している。 「ウミ、コイツラ…
「ここは随分と人が入ってないみたいだね」 適当な建物に一歩足を踏み入れると、一面が青々とした葉や蔓で覆われていた。ナイフを握りさっと腕を振るとはらはらと落ちていく。 「…ところで梓鉈」 「ん?」 「こんなにうっそうとして瓦礫まみれのとこ入るの嫌…
「ああ、ぼくはもう駄目かもしれない…」 少女はゆっくり睫毛を震わせると、そのままばったりと倒れた。彼女の周りには青々とした草原が果てしなく広がり、手には塗装のはがれたコンクリートの欠片を握りしめている。 「ぼくに残されたのは…この小さなおにぎ…
これからよろしくお願いいたします